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残念ながら子供の頃、私はあまり図書室を利用した思い出はありません。自宅の本棚にある兄姉の本や親が買ってくれた本をもっぱら読んでいました。どうしてそんなに図書室を利用しなかったのか記憶を蘇らせてみることにします。 たしか小学校低学年の頃、担任の先生に連れられて、クラスの皆で初めて学校の図書室に行きました。貸し出しカードの書き方や本の探し方、扱い方など図書室の利用方法を習った記憶があります。その時、がらんどうの大きな部屋の周りにびっしり本が並べられて、1人で来るのが怖い感じがしたものでした。その後、放課後、何度か図書室を覗いたとき、高学年のお姉さんたちが行儀よく本を読んでいました。周りも静かで、ちょっと音を出すと「シー静かに」と言われそうな雰囲気でした。先生の姿は見えず、高学年の図書委員の生徒達が幅をきかせている場所のようでした。私は引っ込み思案だったので、ちょっと助けてもらえる大人がいない場所は苦手でした。 中学校の時は薄暗い図書室で、古い本の独特な匂いが立ちこめていて、長く留まっていようとは思いませんでした。私はどちらかというと小中高を通じて本をあまり読まずに、外で遊ぶかスポーツをするか、また、本よりテレビを見ている方が好きな生徒でした。 3人の息子の親になり、PTAとして学校参観の機会が増えました。私が子供の頃に比べ学校の図書室は生徒が喜びそうな明るく楽しいインテリアで工夫された場所で、本を読まなくても行ってみたいな、という雰囲気がありました。米国でも何カ所か息子達の参観で図書室を見ましたが、必ず1日中、司書がいて子供達の相談にのってくれるシステムが当たり前のようにできていました。さらにボランティアの保護者が交代で働いていて、手際よく本をかたづけたり、コンピュータで本を貸し出していました。朝、登校したばかりの本好きな生徒が、本を借り、休み時間に読み終えた本を返しに来て、また放課後に次の本を借りて家に帰る、という要求にも難なく対応していました。 私があまり図書室になじみがなかったのは、小さい頃の最初の出会いがあまり印象の良いものではなかったからかもしれません。さらに甘えながら相談できる司書の先生の存在があれば、きっと本好きの少年に変わっていたかもしれません。子供に興味を喚起できる司書の先生が増えて、さらに先生の助けになるシステムの工夫がされることによって、図書室が学校の中心になることを願っています。 宇宙航空研究開発機構(http://www.jaxa.jp) 日本科学未来館(http://www.miraikan.jst.go.jp)
宇宙飛行士 毛利 衛
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