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著者からのメッセージ

生物多様性の山

   佐野 高太郎
(2007年12月発行 会報第113号より)
 東京都心から電車に乗り一時間のところに高尾山はある。高尾山のファンは多く、山頂に薬王院があることもあって年間の訪問客は二百万人を越える。

 高尾山で国定公園に指定されている場所の面積は七七〇平方メートル、標高五九九メートル。日本で一番ちいさな国定公園でもある。しかしその中に生息する植物は一三〇〇種類、イギリス全土に生息する植物一六〇〇種類に匹敵している。昆虫は推定五千種類以上で、日本三大昆虫生息地となっている。鳥類は一三〇種類で、海鳥を含めた日本全国で確認された野鳥の四分の一を越えている。これだけの数がこんなに狭いエリアに凝縮されている理由のひとつは水の豊かさだ。

 高尾山の土にひしめき合う大小さまざまなミミズたちなどの土壌生物が土の中を通って水の流れを作る。それは人間の目には見えないような、細く小さく繊細なもので、ちょうど毛細血管のようなものだ。“水みち”というのだが、雨水などがこの道をゆっくりと流れていくので、土には水が保たれる。事実、高尾山の沢道に沿った登山道を歩くとものすごくマイナスイオンを感じる。

 高尾山の魅力は一人の写真家が撮り尽くせるほど小さくはない。ひとかけらでいい、写真で表現したいと思いこの本がうまれた。
本イメージ
高尾山
ちいさな山の生命たち
かもがわ出版刊
定価2.730円
中学校・高等学校

著者
佐野 高太郎

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