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著者からのメッセージ

日本の村里を歩く

   大塚 高雄
(2005年6月発行 会報第106号より)
 この本では、南は西表島から北は北海道までの田を紹介しています。西表島では水牛を引かせ田を耕し、北海道ではトラックのような大形のコンバインで稲刈りをしていました。西表島では昔ながらの農耕が残っています。僕が子供の頃、田の脇に牛小屋があって、「くせえな」とぶつぶつ言いながら通り過ぎたものです。牛がまだ田で活躍していた時代だったのです。また、田は春になると一面レンゲが咲き、野球少年の絶好の空き地でした。小川には魚やカエル、水生昆虫があふれ、夢中になって捕まえたものでした。時を忘れさせてくれる遊び場、それが田んぼでした。僕の原風景はここにあります。日本各地の棚田、谷津田、平野の田などを巡って1番感じるのは、日本は、水の国だということです。そう感じる季節が1年に1度訪れます。田に水を張る季節です。高知県で、日本の家は「水の上に浮かんでいるんだ」と錯覚したことがあります。四方を田んぼに囲まれていれば、家が水に浮かんでいたと錯覚してもおかしくないでしょう。富山県庄川の扇状地に広がる散居村の光景などは、その典型といえます。この季節、日本各地に広大な田という名の「水溜まり」が出現するのです。それと、近代化の波がどんどん押し寄せていること。特に稲を干す光景が消えつつあります。平野の田ではもちろん、棚田にもコンバインが導入されたからです。近代化されつつある田ですが、まだまだ日本の原風景といえる光景も数多く残っています。この本では、そんな田の数々を写真で紹介しています。
本イメージ
「日本の村里」
クレオ刊 定価2940円
中学校

著者
大塚 高雄

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