1. HOME > 
  2. 著者からのメッセージ

著者からのメッセージ

サバイバルな小宇宙

   今森 洋輔
(2011年9月発行 会報第4号より)
植物プランクトンには星形や、突起を持つものなどが多いが、その形体には意味がある。つまり、光合成をする彼らにとって日光の届かぬ湖底に沈む事は死を意味し、そのため、体の突起で抵抗を作り沈みにくくしているのである。動物プランクトンも同様に生き残り作戦を展開する。捕食者が現れると、ゾウミジンコは死んだふりをし、カブトミジンコは、敵が食べにくくなるよう体形まで変えてしまうのである。私が微生物の世界を知り感動を覚えたのは、食物連鎖の底辺を担う微細な生物同士でさえ食う食われるの関係があり、弱者は弱者なりの延命作戦を展開しているという点であった。
微生物は隣人なのに、今ひとつ身近に思えないのは、小さくて見えない事もあるが、顕微鏡を用いるというひと手間がそうさせていると私は感じている。コンパクトで安価な携帯光学顕微鏡ができたらどれほど素晴らしいだろう。その世界に魅せられた子供たちは間違いなくその世界に引きずり込まれるはずである。それは兎も角、是非一度微生物の世界を覗き見する事をお勧めする。なにげない水たまりの一滴の水滴が、実はサバイバルな小宇宙であったという事がわかるからだ。
書影
水草の森 プランクトンの絵本
岩崎書店刊 定価1,470円
中学校


著者
今森 洋輔

バックナンバー

選書リストを見る

新規登録すると…

SLBAに参加登録(無料)していただくと、ホームページからもご注文が可能になります。

学校図書館様向け 新規登録

書店様向け 新規登録

ページトップへ

当ホームページ掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載を禁じます。