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著者からのメッセージ

大工道具を描く

   安田 泰幸
(2010年9月発行 会報第1号より)
 私たちが子どもの頃、町内にはたくさんの職人がいました。洋服屋、靴屋、傘屋、時計屋、洗い張り屋、桶屋、家具屋、畳屋、自転車屋…。店は物を売るだけではなく、売る物をつくったり、修繕したりしていました。家もそうです。道の真ん中で大工さんが柱を鉋で削り、左官屋さんが土を練って鏝で壁に塗り込んでいました。私たち子どもは、朝から晩まで一生懸命に働くおとなたちを見て、働くことやものをつくりだすことの苦労とその尊さを、教わってきたように思います。

 いま、私たちの身の回りのものは、管理された工場で、優秀な機械によって、効率よく、正確につくられています。あらゆるものが簡単にできてしまい、それらをつくるための工夫や努力が見えにくくなっています。その結果もののありがたさやものづくりの大切さがなおざりにされているようにも思えます。

 私は長年、町を歩き、人々が歴史の中で築いてきたものを、小さな紙片に水彩画で描いてきました。近頃、見かけなくなりつつある大工道具にも、職人の知恵や工夫により育まれてきた美しい形と、使いこまれたことによってにじみ出てきたぬくもりや豊かな表情があります。職人の心意気がつまった大工道具を描いた水彩画とものがたりで、私たちの祖先が築いてきたものづくりの文化をもう一度見つめ直してみませんか。
大工道具を描く
大工道具を描く
朝倉書店 1,680円
中学校・高校

安田 泰幸
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