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著者からのメッセージ

ありえない世界に生きる、リアルな人たち

   こだま ともこ(訳)
(2010年9月発行 会報第1号より)
 さびしい高原にそびえたつウィロビー・チェース屋敷。当主のひとり娘ボニーは、両親の留守のあいだ、従姉妹のシルヴィアといっしょに暮らすことになりますが、女の家庭教師の悪企みによって、恐ろしい事件に巻きこまれていきます。舞台は十九世紀のイギリス、ヨーロッパ本土とイギリスをむすぶ海峡トンネルも完成し……えっ、海峡トンネルが十九世紀に?そうなんです。この物語は実際にはなかった架空の世界にくりひろげられる冒険歴史ファンタジーの第一巻なのです。

 ところで、作者のジョーン・エイキンは著作のなかで「作家の任務とは、子どもたちにむかって、この世界は単純な場所ではないことを示すこと」といっています。この本に出てくる悪漢たちも現実の世界さながらの一筋縄ではいかない連中。その悪者どもがなんと生き生きと描かれていることか。いっぽう、子どもたちが知恵と勇気で悪者どもに立ち向かっていく姿に、身のまわりにいる子どもたちを重ねあわせて胸を打たれます。舞台は事実と違っていても、物語のなかの人たちは実にリアルなのです。手に汗にぎるストーリーの面白さは言うまでもありません。作者は四十年あまりかかってこの壮大な物語を書きあげ、七十九年の生涯を閉じました。既刊の新訳に加え未訳も順次発行予定(『ダイドーと父ちゃん』、『少女イスー地下の国へ』は既刊)ですので、ぜひ手にとってくださいますよう。
ウィロビー・チェースのオオカミ
ウィロビー・チェースのオオカミ
ジョーン・エイキン/著 冨山書房 1,700円
中学校

こだま ともこ(訳)
こだま ともこ(訳)

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