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著者からのメッセージ

おねえちゃんの名前

   いとう ひろし
(2008年12月発行 会報第116号より)
 「おねえちゃんの名前はなんですか」と、尋ねられることがあります。もちろんそれは私の本当の姉の名前ではなくて、「ごきげんなすてご」から「ふたりでおるすばん」まで、ずっと主人公を務めてくれた女の子の名前です。本の中の彼女は、どの場面でも「おねえちゃん」と呼ばれ、彼女の弟が「だいちゃん」という名前で呼ばれるのとは対称的です。

  私の本に限らず、お姉さんが「おねえちゃん」と呼ばれるのはよくあることです。でも、弟が「おとうと」と呼ばれることは、めったにありません。なぜなんでしょう。

  弟は生まれた時から「おとうとです」。そこに迷いはありません。ところが「おねえちゃん」は、弟や妹が生まれることで、意識的に身につけなければいけない役割です。まわりからも、そのための努力が期待されます。彼女が無理なくその役を演じられる頃には、「おねえちゃん」という一般的な呼び名が、本当の名前を消してしまうくらい大きくなっているのでしょう。

  このことは、「おとうさん」という役割にも、ちょっと似ています。もしかすると私は、この女の子の姿を通して、「おとうさん」になる方法を学んでいるのかもしれません。
本イメージ
ふたりでおるすばん
徳間書店刊
定価1,365円
小学校低・中学年

著者
いとう ひろし

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