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本のかたち

小さい本

ブックデザイナー    辻村 益朗
(2007年9月発行 会報第112号より)

 最近はどこの家庭でも住環境にゆとりがないので、本のために十分なスペースを確保することはまず無理でしょう。また、とくに大きく重い本は、場所ばかり塞ぐので敬遠されがちです。

 ところで、いまとりあえず、特大本は除外するとして、手もとの本でその大きさを測ってみると、最も大きい本は本文の1ページがA3(420×297ミリ)で、最も小さい本は1ページが87×62ミリで、これはB8(91×64ミリ)に近い大きさです。

 A3本は『世界大地図』で、諸国の詳細な地名表記の必要からこの大きさになったのでしょう。小さい方は絵本で、センダック作のかわいい本が4冊函に入った豆本セットです。これはタイトル通り、一般的な市販本としては、最小のサイズで作られています。(NUTSHELL LIBRARY-邦題『ちいさなちいさな えほんばこ』 じんぐう てるお訳 原書とほぼ同寸で、冨山房刊/写真は原書 1964)

 小さな絵本ながら上製本で、厚表紙にカバー掛け、綴じは糸縢り。センダック初期、60年代の傑作絵本です。

 製本も一般書と違い、手帳と同じ工程で2冊を一度に縢ってから、分断する方法で製本されます。

 序でながら、もう少し小さい本がない訳ではありません。ポターの『ピーターラビットの絵本 ミニチュアコレクション』(福音館書店刊)で大きさは80×60ミリ。これには原本があり、それを57%に縮小したミニチュア版です。こちらも、本文無線綴じ表紙付きの一括4冊分を、三方化粧断ちで仕上げる、珍しい製本法で作られるそうです。

 製本工程からも解るように、流通にのっている豆本類は、普通の本とはまた別の苦労があるようです。

小さい本

ALLIGATORS ALL AROUND ――― 『アメリカワニです、こんにちは』ほか 4冊函入り

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