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本のかたち

紙と本の大きさ

ブックデザイナー    辻村 益朗
(2007年4月発行 会報第111号より)

 書籍の大きさは、紙の規格寸法「A判」や「B判」をもとに作られますので、本文用紙の規格サイズから、「A5の本」などと云います。ほかには「四六判」や「菊判」などと呼ばれる本もありますが「四六判」の四六は、4寸2分×6寸1分(127×185ミリ)の寸法の略からきています。

 文芸書などにも多い四六判の本文用紙の大きさは、横128×縦188ミリと決まっていますが、版元によっても違いがあり、横幅は最大132ミリくらいまで幅広にとることがあります。広い方がマージンに余裕があって、本の形としても優れているように思います。

 「菊判」は、広辞苑によれば、初めて菊判サイズの紙が輸入された時、菊花の商標があったからとありますが、もとは米国の新聞用紙の規格で、新聞のぶん「聞く」から「菊」に転じたと云う説もあります。(竹尾:紙に関するデータ)

 菊判は子どもの本としても、以前は多かったのですが、本文サイズ(150×220ミリ)は、やや細長いせいか、最近は小ぶりのA5判(148×210ミリ)が主流のようです。

 ところで、A判やB判の紙の大きさは、日本工業規格(JIS)の紙加工仕上げ寸法で決められています。この寸法は、紙の短辺と長辺の比が1:√2になっていて、長辺を半裁したときにも、各辺の比が1:√2になります。

 「B判」の起源は和紙で、江戸時代に徳川家の御用達であった美濃紙(美濃判)のサイズが、用紙寸法のルーツになったようです。この紙を二つ折りしたものが、和本の「美濃判本」:横6寸5分×縦9寸1分(197×276ミリ)で、B5よりやや大きいくらいでしょうか。

 明治政府も、公文書などに美濃判サイズを引き継ぎましたので、ずっとこの大きさが、慣習で使われてきました。

 昭和の初め、工業品規格を統一したとき、ドイツの工業品標準規格に基づく「A判」と、伝統的な日本独自のサイズを基にした「B判」とを設定しました。 1949年からJISがこれを引き継ぎ、今日に至っています。

 ついでに「半紙」にふれておくと、お習字用の半紙などと云いますが、もとは、大判の紙を半分に切って用いたからです。この「半紙」を、二つ折りしたものが、「半紙判本」:横5寸4分×縦7寸8分(164×236ミリ)で、一般的な和本の大きさになります。同じ和本でも、大きい美濃判は立派にみえます。(二つ折りをする前の、半紙や美濃紙の大きさは、製本時の化粧裁ちの分だけ大きい)

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