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本のかたち

装てい

ブックデザイナー    辻村 益朗
(2003年6月発行 会報第100号より)

 装ていの「テイ」は丁、訂、幀、釘どれが正しいのでしょうか。国語辞典では丁が一番最初にあり、ほかの三字はまとめて括弧に入っていて、どれを使っても間違いではないようです。

 装ていを担当する編集者やデザイナーは「幀」をとる人が比較的多いのですが、最近はカタカナでブックデザインとかデザインとしたものが目につきます。

 「訂」がお好きなので書誌学系の先生方で、この字に拘る理由はどうやら、かつての大御所、長澤規矩也氏の著作あたりにあるようです。(『古書の話』1976刊)

 この本の「装訂という言葉」の概略を記すと、「釘」はくぎでこの字の誤用であり、「幀」は字音がトウでテイと読むのは百姓読みであるとやや軽蔑され、「丁」の方は誤用の「釘」をよりもまだよろしいとなっています。氏のとられた「訂」はその例が唐本中にもあり、定める、正しくする、きちんとする、で意味として通ずる。「訂」を使っても悪いことはなんにもないとあります。

 一般的に考えると訂の字からは、ただす-訂正の意味が浮かんできて、どうも装訂ではしっくりきません。

 ところで、訂(ただす)は漢字字典に、意見、ことば、文字のくいちがいをつき合わせて一つにまとめる、と添え書きがあります。装ていは、編集者や作者との、表現上の多少のくい違いをまとめ本の形にする仕事なので、訂が似合いそうな気配で可笑しい。

 さて文豪たちは作品中で、志賀直哉は「幀」、内田魯庵は「釘」、夏目漱石は「禎」、但しこれは『草枕』で掛け軸の表装に用いています。

 私は、よそおうの装と書物の用語丁と解釈して装丁を用いますが、二文字の字面上のバランスが悪いために、編集関係にあまり評判がよくないようです。

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