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古くは鎌倉時代の歌集などにもみられる写本の綴じに、「大和綴じ」と呼ぶ洋式の縢りによく似たものがあります。ところが、この綴じ方は「綴葉装てつちょうそう」「列葉れつよう装」「列帖れっちょう装」とさまざまに呼ばれ、呼称混乱の代表格なのです。
ここでは、この綴じの古くからの形にふさわしい、中野三敏氏が提唱された「大和綴じ」に倣います。(『江戸の板本』1995年岩波書店)これが洋式縢りに似ているところは、4~5枚の本文用紙を重ねて二つに折ったものを一折りとして、いくつかの折り帖を縢り合わせて一冊に仕上げるからです。製本方法をこの欄で述べるのはとても無理ですから、以下略図で簡単に説明します。
(1)一折り目のノド上下2ヶ所に二つずつの針穴をあけ、それぞれ1本の糸を通しますが、図は両端に針のついた糸が折りの外へ出たところです。(2)のイ・ロは一折りから二折り目のノドに針が通って出たところ、ハ・ニは二折り目に針が入ったところです。次は図の点線のように、イの針をロに出し、ロの針はイへ、同様にハの針はニへ、ニはハへと4本の針を内側から折りの外へ出します。そしてこの繰り返しで全丁を縢ります。最後はそれぞれの糸を一つにまとめて結びます。この部分は、和歌集の古写本などでは、雅な染めの綴じ糸を見かけることがあります。 この綴じは、綴じてから書く(描く)場合にはよいのですが、印刷で、例えば16頁分を4枚の別々の紙の表裏に刷るのは、間違いがおきやすく、板本の時代にはなくなりました。板本では、紙の片面だけに2頁分を印刷して二つに折り、それを一丁とした方が都合がよかったのです。
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