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本のかたち

綴じと製本

ブックデザイナー    辻村 益朗
(2004年11月発行 会報第104号より)

 前回でふれた「南京」は、洋式といっても本の中身は針金で綴じているだけでした。これは、私たちが何枚かの紙をホッチキスで留める方法と、一体どこが違うのでしょう。

 製本の順序は、16(32)頁分の印刷し上った紙を折り畳み、それを「折り丁」1台として、全頁分の丁を糸で縢かがって(又は接着剤で)綴じ合わせてから、見返しをつけ、三方を断裁し、表紙をつけて仕上げます。これが「上製本」。また製本形式は分類すれば多種類ですが、大別すると、中身と表紙を一緒に・・・三方仕上げ裁ちしたものは、「並製本」とよんで区別しています。並製本は表紙と中身が同寸です。

 ここで、本文用紙の綴じ方を、断面の略図で説明しますと、糸での「かがり綴じ」は①です。何より、丈夫で本の開きがよく、手になじみます。折り丁が16頁なら8~9頁の中央(のど)に糸が数か所見えることになります。

 ②の「あじろ綴じ」は各丁の背に多数の切れ目をいれ、そこを接着剤でくっつけたもので、現在書籍の殆どはこれ。①との違いは一見ないようでも、丈夫さを必要とする辞典類や児童書など、ほかにも、仕上りに拘こだわる場合は①です。

 ③は「無線綴じ」で、折り丁の背の部分を一旦切断し、枚葉状にしてから接着剤で接合したもので、文庫本や雑誌などがこれです。先にあげた南京は④の「平綴じ」です。

 ⑤の「中綴じ」と④は、綴じに使用する材料で、ホッチキス形式と糸でのミシンがけがあります。①には、一般的な機械縢りのほか、数百年変らない「手かがり綴じ」もあります。ところが、この糸縢りによく似た綴じ方が、かつて日本にもありましたので、次回で紹介いたします。

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