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編集者のアンテナ

長先生とお仕事ができた幸せ

学習研究社    井出 香代
(2006年4月発行 会報第108号より)
  子どものころ読んでいた絵本、仕事をはじめてからは憧れの存在。それが、私にとっての長新太でした。

 トムズボックスの店主であり、絵本編集者であり、日本一の長新太ファンである土井章史氏の編集協力のもと、保育園、幼稚園向けの月刊絵本〔おはなしプーカ〕が立ち上げられたのは2003年。その初年度のラインナップとして長先生のご執筆が決まり、そして私が担当させていただくことが決まりました。「あの長新太とお仕事ができる……」それは、夢のような現実でした。『ブタとタコのダンス』は、その〔おはなしプーカ〕の2003年10月号として描きおろされた作品です。

 最初のラフを拝見したときの驚き、鮮明に覚えています。勢いのある線はどれも生き生きとして、このナンセンスなお話がするっと心に入ってきてしまうのです。28~29ページのブタとタコが海の仲間たちと大団円となってダンスするシーンなどは、ラフなのにも関わらず、びっしりと描き込みされていました。絵本をつくることへの真摯なお気持ちを垣間見たような思いがしたものです。

 その約2年後。単行本としての出版が決まり、見返しの絵を描きおこしてくださいました。あのころすでに病床についていらしたはずなのに、このユーモアあふれる絵! ブタの鼻から墨を吐くタコが出てきている絵、ぜひご注目いただきたいと思います。本を開いたとき、いつもくすっと笑ってしまいます。

 単行本の色校正の際、病床より丁寧なお返事をくださいました。あのハガキは、いつ何時でも謙虚であった長先生からのメッセージとして、私の大切な宝物になりました。

 この素晴らしい一冊に携われたことの幸せを思います。
ライト兄弟はなぜ飛べたのか 紙飛行機で知る成功のひみつ
ブタとタコのダンス
長新太/〔作〕
学研マーケティング
1,260円

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