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編集者のアンテナ

ミクロの不思議な世界をのぞいてみませんか?

誠文堂新光社    秋元 宏之
(2011年4月発行 会報第3号より)
 微生物の名前をどれくらい知っていますか? と聞かれたら、理科の教科書レベルの数種類といったところでしょうか。ゾウリムシにミドリムシは微生物の代表選手、アオミドロやボルボックスなんて名前が出てきたら、けっこう生物に詳しい人だと思います。しかし地球上には、驚くほどたくさんの微生物がたくさん生息しています。とても240ページの本に収められるような相手ではなく、また著者が持つ微生物写真の点数は8万点にものぼり、著者の思いもあり、編集作業の多くの時間を、その取捨選択に費やしました。
 膨大な数の微生物写真は、著者が寝食を惜しんで各地を回り、採集したものです。そしてクオリティの高い写真を撮影し、微生物の同定を行うという工程を考えれば、著者がいかに微生物に魅せられ、そして人生をかけて研究を行っているか、容易に想像できます。中には一種に写真1枚、たった数行の文章でしか紹介していない微生物もおり、また「もっと詳しく知りたい、大きな写真で見たい」とのご意見もいただきました。残念ながら限りあるページ数では、著者の情熱をすべて綴じ込むことはできません。この文書を読んで微生物に少しでも興味をもった方は、インターネットの「原生生物情報サーバ」をご覧ください(http://protist.i.hosei.ac.jp/index-J.html)。著者が出会った微生物たちの記録が、おしみなく紹介されています。
 微生物を観察するには顕微鏡が必要です。彼らが私たちのごく身近に存在しているにもかかわらず、見たり触れたりする機会が少ないのは、そこに敷居があるからだと思います。しかし、顕微鏡で見るミクロの世界には、我々の想像を超える生命の神秘が存在します。たとえばゾウリムシはたくさんの性をもっているとか、アメーバーは条件さえよければ、死なずにずっと生きていける(と考えられている)とか…。「一家に一台」とは言いませんが、多くの人が、本書をきっかけに顕微鏡を手に入れ、微生物の世界に興味をもってくれたらたいへんうれしく思います。

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