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編集者のアンテナ

「一瞬のできごと」花火を記録した図鑑

ポプラ社    小桜 浩子
(2008年12月発行 会報第116号より)
  夏になると、日本各地で花火大会がはじまります。ドーンというおなかの底に響く音、そして、夜空に大きく咲く色とりどりの火の花。屋台からただようおいしそうなにおいや集まる人々の熱気。まさに、花火は日本の夏の風物詩です。でも、実は花火大会は夏にかぎったものではありません。冬におこなわれる花火大会もありますし、花火師さんたちが新作を披露し、腕をきそう競技大会もおこなわれています。

  この『花火の図鑑』の著者である泉谷玄作さんは、そんな花火を日本全国、四季を通じて追いかけ、写真に記録し、そして、花火師さんから貴重な話を聞きつづけている、花火写真の第一人者であり、日本で花火にもっとも精通した人物のひとりです。

  泉谷さんは、秋田県に生まれ育ち、おもに風景を撮り続けているカメラマンです。秋田の大仙市では、毎年八月に「大曲の花火」とよばれる花火の競技大会がおこなわれ、泉谷さんは、この大曲の花火で、まさに花火の魅力にとりつかれたとおっしゃっています。

  花火は一瞬のできごとです。花火玉の出来は、打ち上げてみるまでわかりません。それに、その時の風や湿度などの影響も受け、かならず美しいまるいかたちに花をひらかせるとはかぎりません。とくに、花火師さんが実験的にあげた花火などは、もう二度と見ることのできない花火となります。泉谷さんはおっしゃいます。「この本には、もう二度と打ち上がらないだろう、まぼろしの花火もおさめてあるんだよね」。

  そんな花火を愛してやまない泉谷さんですから、全国の花火師さんからも絶大な信頼をうけてらっしゃいます。ですので、この本には、花火師さんたちがあまり語ろうとしない最新花火のひみつなども、そっと書いてあります。この本を読んでくださった読者の方には、見て美しく、そして読んでその奥深さにうなっていただけたらと思っています。
花火の図鑑
花火の図鑑
泉谷玄作/写真・文
ポプラ社
1,764円

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