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著者からのメッセージ

私が『十歳のきみへ』を執筆するにいたったきっかけ

聖路加国際病院 名誉院長・理事長    日野原重明
(2007年9月発行 会報第112号より)
 私は今からちょうど二十年前に、私の母校の神戸市立諏訪山小学校にNHKテレビETV8シリーズの「授業―母校の教壇に立って」という番組で、クラスを受け持ったことがあった。そのとき、私は二十本の聴診器と血圧計とを持っていき、五年生のクラスの生徒に、自分の心音と友達の心音を聞かせ、同時に肘の中を通る動脈上に聴診器を当てて血圧を測るやり方を一時間の間に教えたことがあった。

 子どもたちはお医者さんがしていることが出来たので、非常に喜んで興奮したことを今でも私はよく覚えている。

 子どもの聴力は大人よりも鋭いということと、しっかり教えれば誰でも血圧を正しく測ることが出来るということがよく分かり、それからは一般の人にも聴診器を使って血圧をめいめいで測ろうという運動を展開したのであった。

 私は、三年前から十歳の小学生のクラスに出て「いのちの授業」をすることを始めた。聴診器を子どもに渡し、自分の心臓の音を聞かせ、心臓が動いていのちが保たれていることを実感させる。そして、生きていくには心臓がよく働いていることが必要なことを教えた後、心臓は血液を全身に届けるポンプであり、いのち自体は目には見えないものだと話す。いのちというのは君たちのもっている、君たちの使える時間だ、それがいのちであり、君たちの寿命なのだと説明する。

 書名を『十歳のきみへ』としたのは、私が「死」について考えた年齢だったから。「いのち」と「自分のもっている時間」の使い方を考えるきっかけにしてほしいと思ったからである。大事な君たちのいのちをどのように使ったらいいか、それを一緒に考えるのである。
本イメージ
十歳のきみへ
冨山房インターナショナル
定価1,260円
小学校高学年

著者
日野原重明

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