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著者からのメッセージ

待つ犬

   藤崎 順子
(2012年9月発行 会報第7号より)
 ひたとすわって待つ犬。その姿を思い浮かべるだけでも目が潤む。ハチ公然り。南極のタロ・ジロ然り。
 わたしたち家族は、パピーウォーカーとしてラブラドールの仔犬を預かった。名前はスキッパー。仔犬を飼ったことのある方ならおわかりになるように、おとなしくすわれるように躾けるのは大変。でも、スキッパーはじっと待てるようになった。スキッパーを育てることで、わたしたちも犬とのつきあい方を学んだのだ。
 盲導犬になる訓練が始まる前にスキッパーは、適性がないと言われてしまった。ところが、警察犬の訓練をうけてみたら非常に優秀なことがわかった。「ひとつのことに適性がないのは、ほかのことに適性がある」ということかもしれない。このことと、犬と暮らすのはどういうことか、を子どもたちに伝えたくて、この本を書いた。
 8年後イタリアで警察犬として働くスキッパーに会ったとき、わたしたちを覚えていて飛びついてきた。だから、もちろん、引退のときはうちに引き取った。
 晩年のスキッパーはじっとすわって待っていた。歳とって腰が悪くて駆けよってこられなくなったからだが、いつも待っていたスキッパーも、待たれていたのがあとからわかった。
書影
盲導犬になれなかった
スキッパー

文藝春秋刊 定価1,300円
中学校・高等学校


著者
藤崎 順子

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