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著者からのメッセージ

もうひとつの物語

   あさの あつこ
(2008年9月発行 会報第115号より)
 『バッテリー』という作品はわたしにとって厄介この上ない存在で、どう扱って言いか、正直、途方にくれたりもする。出てくる人物一人一人がどうにも気になって疎かにできないのだ。かといって、丁重に付き合えば、膨大な量となり、肝心のバッテリー二人から大きく外れてしまう。あくまでこの二人に焦点をしぼってこその世界だと自負していたから、気になりつつも書かなかった場面が幾つもある。ただ、シリーズを書き終えて、すぐ、瑞垣俊二という少年だけは、どうしても新たに書ききらねばならないと強く思ってしまった。どうしてだろう? よく、わからない。たぶん、わたしにとって、魅力的だったのかもしれない。あるいは自分と共振する部分があったのかもしれない。うまく説明できない情動にかられて、彼を主人公に『ラスト・イニング』という作品を創り上げた。少しほっとした。でも、読み返してみると、これはやはり、原田巧の物語だったなと感じる。なにやってんだろう、あたし。巧の磁力から抜けたところで、もう一度、ちゃんと書き直してみたいなあとは思ったりするのだが。無理でしょうか。
本イメージ
ラスト・イニング
角川書店刊
1,260円
中学校・高等学校

著者
あさの あつこ

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