1. HOME > 
  2. SLBAのご案内

SLBAのご案内

これからの教育と学校図書館の活用

SLBC理事長
森田盛行
2010年4月発行 会報第120号より

学校図書館の活用と学力

 文部科学省が二〇〇八年四月に行った全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果分析によると、「学校図書館を活用した授業」に取り組んでいる学校 では、学力が伸びていることが分かりました。「学校図書館を活用した計画的な授業」を行っている小学校では、国語、算数の「A知識問題」・「B活用問題」 共に高学力層が増加し、低学力層が減少しています。算数の「A知識問題」で高学力層が増えた学校群は、前回より一一・六ポイント増加した六八・六%となっ ています。また、算数の「B活用問題」で低学力層が減少した学校群は、前回より八・六ポイントの減少で七一・八%となっています。小学校では学校図書館を 活用する学習の効果が著しいことが確かめられたことになります。一方、中学校では国語科は「A知識」、「B活用」及び数学科の「B活用」において高学力層 が増加していることが分かりました。

  さらに、今回のテストでは読書習慣の身についている子は、国語ばかりではなく、算数・数学の成績が伸びていることも分かりました。 

  これは学校図書館担当者の間では経験的には分かっていましたが、全国的な規模の調査により学校図書館の有用性が証明されたことに大きな意義があります。

文部科学省の施策

 文部科学省は、子どもの読書活動を推進するために各種の提言や学校図書館の活性化の方策を検討する「子どもの読書サポーターズ会議」を設置し、二〇〇八 年九月に広報リーフレット「学校図書館のチカラを子どもたちのチカラに」と審議経過報告の「これからの学校図書館の活用の在り方等」について公表しまし た。この中では、学校図書館の「読書センター」、「学習センター」、「情報センター」の三つの機能の活用の高度化を目指し、具体的には次の六点を提言して います。

  1. 学校図書館が中心となる学校における多様な読書活動の展開
  2. 家庭や地域における読書活動推進の核としての学校図書館の活用
  3. 「学び方を学ぶ場」としての学校図書館の整備
  4. 学校図書館の教員サポート機能の充実
  5. 「いつでも開いている図書館、必ず誰かいる図書館」を実現し、「心の居場所」となる学校図書館づくり
  6. 放課後の学校図書館の地域の子どもたちへの開放

 これらの中で、司書教諭と学校司書が協働して学校図書館の経営・運営を行うことを明確にしています。この文中に文科省の文書として初めて「学校司書」という用語を使用しました。文部科学省が学校司書を重視していることが分かる画期的なものと言えます。

全教科における読書指導

 二〇〇三年に発表されたOECD(経済協力開発機構)のPISAテスト(生徒の学習到達度調査)の結果では日本の子どもの読解力が第八位から第十四位に 落ちた、と日本中の関心を集めました。改正された新学校教育法の第二章義務教育の第二十一条第五号には、「読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解 し、使用する基礎的な能力を養うこと」と読書を義務教育の目標の一つに位置づけています。

  これらを受けて、二〇〇八年三月に告示された学習指導要領においては、読書力の育成が大きく取り上げられています。国語科の「2.内容」の「C 読むこ と」に『本』を読むという表現が初めてされています。新指導要領では「目的に応じて」、「目的に応じて、複数の本や文章を比べ」、「目的に応じて必要な情 報を得るため」のようにPISA型の読解力の育成を色濃く反映した内容となっています。

  読書指導は従来の国語科中心から全教科・領域で、全教員が行うことが強調されています。どの教科においても読書力、読解力は必要であり、教科の特性に応じ た読書指導も必要となります。読書は学校教育のみならず生涯を通じた社会生活の基盤となるものであり、そのために、学校図書館の充実と機能を活用する学習 指導、読書指導がこれまで以上に求められることになります。

バックナンバー

選書リストを見る

新規登録すると…

SLBAに参加登録(無料)していただくと、ホームページからもご注文が可能になります。

学校図書館様向け 新規登録

書店様向け 新規登録

ページトップへ

当ホームページ掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載を禁じます。