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前回紹介した「大和綴じ」を用いた江戸時代初期の版本では、用紙の両面に文字が印刷されています。そのため、いま仮に、1折の用紙を4枚として16頁におき換えると1枚目の表面には左側に1頁、右には16頁、その裏面では右に2頁、左に15頁を印刷することになり、ほかの3枚も配列が複雑になってきます。
今日のように、大きな紙の表裏に16頁分を印刷して折り畳むのとは違って、間違いがおきやすくなります。このため乱丁防止策として、中央の折り目のところに紙葉の順序と表裏の別を「折り標じるし」として小さく入れた先進的な本もありました。残念なことに、この綴じ方そのものがあまり普及しなかったので、折り標から、頁数を示すノンブルへと次第に発展するようことはありませんでした。
一方、用紙の印刷面を外にして2つに折って綴じる、いわゆる和本の「袋綴じ」では、紙葉の順序を示す漢数字が用紙の中央にあります。これを「丁付け」とよび、1丁は2頁分に相当します。大抵は、幅1.5センチほどの縦の罫線2本に挟まれていて、ほかに書名や魚尾ぎょびなどもあり、この部分を「板心はんしん」または「柱はしら」と呼びます。本を開くと、左右にある小口の文字や魚尾は半分だけが見えます。
ところで、ヨーロッパでも写本の欄外に、ノンブルの祖形に当たる折り記号(Signature)を書き入れたものもありました。折り丁の1折りはa、2折りはbとして、各葉はローマ数字のをi,iiで記しています。この方法は、インキュナブラ(15世紀中ころの印刷術発明から1500年までの揺籃期に刊行された活字本)にも引き継がれますが、どうやら、ノンブルが一般的になりアラビア数字が用いられるのは、16世紀半ば近くになってからのようです。
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