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本のかたち

大きい本

ブックデザイナー    辻村 益朗
(2007年12月発行 会報第113号より)

 前回は、身近なところにあった「小さい本」を取り上げましたが、さて、大きな本となると、どうしても特殊な本になりますから、いっそ、世界一大きい本を探しましょう。

 以前、ニューヨークの公立図書館で、B1サイズほどの大きな『鳥の本』を見ましたが、世界一であったものかどうか? では、なんでもありそうな、大英図書館(以下B.L.と略す)に当たってみましょう。

 たしかにB.L.には、『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルこと、ドジスンの挿絵入りの「アリス」の原稿から、かのレオナルド・ダ・ヴィンチの『ノート』や、御存じ、モーツァルト自筆の『主題目録』まで、所蔵書物は百花繚乱です。やはり、大きい本もありました。

 それは丁度、画家レンブラント(1606~1669)の時代、1660年のこと、当時のオランダはイギリスよりも先進国でしたが、そのアムステルダムの貿易商人から、英国のチャールズ二世へと献上された、大きな本が、地図帳の『壁地図集』です。大きさは、縦が約178センチ、横幅が約107センチで、本の1ページの高さ(天地)は、人の背丈ほどです。

 この本、実はあまり大き過ぎて、裏表紙の地の部分にはクルマがついています。これは、平らな状態で見るのではなく、立てたまゝ見るもので、クルマを滑らせて開くという大変な代物です。まあ、本の所有者は王様ですから、何人がかりで開閉しようが、さして問題はなかったことでしょう。
ところで、「ギネスブック」の方にも、近年の世界一大きい本が登録されていました。制作はマサチューセッツ工科大学で、ブータン王国の写真などを収録した『ブータン』(Bhutan : A Visual Odyssey Across the Last Himalayan Kingdom.)です。

 本の大きさは、約150×112センチで、超大型のカラー写真集です。何よりも、印刷、製本して量産販売された本ですから、先ほどのB.L.所蔵、天下に唯一冊の手稿本とは、大きな違いがあります。

 序ながら、セント・パンクラスにあるB.L.には、素晴しいギャラリーがあり、英国が誇る至宝『リンディスファーン福音書』(c.698)をはじめ、世界的規模の「貴重書」が多数展示されています。ギャラリー内にあるパソコンでは、稀書のページをめくっての仮想読書も楽しめます。ロンドンで暇ができましたら、ここは‘おすすめ’です。

小さい本

ALLIGATORS ALL AROUND ――― 『アメリカワニです、こんにちは』ほか 4冊函入り

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