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編集者のアンテナ

詩の世界を、自由に楽しんでもらえたら

のら書店    鈴木加奈子
(2005年11月発行 会報第107号より)
  「あいうえおのうた」は、「あ」から「ん」まで50音のタイトルで始まる詩を集めた、こどものための詩の本です。

 詩は、こどもの歌もつくられている中川ひろたかさん。詩の本をつくりませんかとお願したのは、初めて見た中川さんのコンサートで、すっと心に入ってくる歌詞に、あたたかい言葉の力を感じたことがきっかけでした。快く引き受けてくださった中川さんと、切り口を考えた際にいきついたのは、言葉の基本「あいうえお」を大事にするということ。「あいうえお」を軸に、中川さんは、こどもに身近な言葉、気持ちに引っかかる言葉を探りながら、詩を書いてくださいました。何編かできると、さらにこんなテーマはどうかなど、打ち合わせを繰り返しました。そして、最終的に100編以上の詩を書きあげてくださり、その中から厳選していったのです。あえてテーマも偏らないようにし、また、長い詩、短い詩、元気のでる詩、心にしみる詩からことばあそびまで、幅広く、様々な詩を盛り込みました。こども達が、詩を難しいものと思わず、自由に楽しんでもらえたらという思いでした。全て書き終えた中川さんは、「自分の心のもとの部分を探って、そのすくった声を書きとめる作業だった」とおっしゃいました。だからでしょうか、こども達の心のもとの部分に、まっすぐ語りかけるような詩が集まったように思います。

 絵は、いつも文を味わう「間」を大事にされている村上康成さんにお願いしました。村上さんが大事に描いてくださった「余白」は、まさに詩を味わう「間」につながり、よむ人それぞれが無限大に想像して楽しめるものになったのではと思います。

 中川さんと村上さんのつくり上げたこの世界は、阿吽の呼吸、ゆるぎない信頼関係を感じさせ、まるで息の合うバンドの演奏を聴くような心地よさがあります。この本が、こども達にあたたかく寄り添うような本になればと願うばかりです。
あいうえおのうた
あいうえおのうた
中川ひろたか/詩
村上康成/絵
のら書店
1,260円

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