1. HOME > 
  2. 編集者のアンテナ

編集者のアンテナ

幸福な絵本。そして、幸福を伝える絵本。

教育画劇    徳永 真紀
(2010年4月発行 会報第120号より)
『だんろのまえで』の作者、鈴木まもるさんは、「ピン・ポン・バス」や「ぼくの鳥の巣絵日記」など、たくさんの絵本を作られ、私も以前より「お仕事させていただけないかなー」と思い準備をすすめていた方です。

そんなある日、突然、一本のお電話が!

「絵本作家の鈴木まもると申しますが…」
「あの、鈴木まもるさんですか?」
「はい」

あれ? なぜ先にあちらからお電話が? 不思議に思いながら、打ち合わせ先に参りますと『だんろのまえで』の元となる絵本ダミー(下書き)が。拝見して驚きました。鈴木まもるさんの今までのイメージが、よい意味で一変。この絵本は、つかれてしまった「ぼく」が、火を眺め、動物たちと語り合う事により、また外に出て行く元気を取り戻していく物語です。人には温かな場所と自分を受けとめてくれる仲間が必要なのだと感じる絵本です。最初に読んだ私も、火の暖かさでじんわり心ほぐされたように思えました。
いま、子どもも大人も、いろんなものに押し流されているようにみえます。その状況に一石を投じる、ちょっと立ち止まってみようと思える、そんな絵本となるだろうと強く思いました。

「ぜひ、やらせてください!」

一気に絵本化は進み、刊行後、多くの読者の方から「火のもつ不思議な力を感じました」「心の奥深くに届きますね」など、大変うれしいご感想をいただきました。
後日「なぜ、弊社にお電話を?」と伺ったところ「なんとな~くです」とお茶目なお返事が。電話は1コールで取るといいですね! いえいえ運命の出会いということでした。私は、編集者として未熟ながらも、本に関わる歳月の中で思い至るようになったことがあります。幸福な本は様々な引き合わせ・巡り合わせで作られるものなのだということです。『だんろのまえで』は幸福な絵本です。
だんろのまえで
だんろのまえで
鈴木 まもる作・絵
教育画劇
1,155円

バックナンバー

選書リストを見る

新規登録すると…

SLBAに参加登録(無料)していただくと、ホームページからもご注文が可能になります。

学校図書館様向け 新規登録

書店様向け 新規登録

ページトップへ

当ホームページ掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載を禁じます。